池田清彦 「構造主義進化論入門」 [読書]


構造主義進化論入門 (講談社学術文庫)

構造主義進化論入門 (講談社学術文庫)

  • 作者: 池田 清彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/02/10
  • メディア: 文庫



だいぶ前に読了。

著者は、さんまの「ホンマでっか!?TV 」に出演されている方ですね。

内容そのものはともかく(あっ、誤解しないでね。悪いという意味ではなく自分がフォーカスする場所が違うということ)、生物学者である筆者の科学的な根拠からなる言説には、自分(の感情)として「う~む」とうなってしまいます。

というのも、

「恣意的に決まったルールは次の空間を縛るので、それが一回出来ると、その系列にあるものはそれからなかなか逃れられない。逃れる為には根本的な解決をしなければならない」

しかし、

「ところが、システムの一部を根本的に改革すると、もとのシステムと調和せず、システム全体が壊れてしまうことが多い」

なので、

「とりあえずうまくいくシステム(構造)があるにもかかわらず、それを棄却して新しい別の構造に切り替えるのは難しい。生き残れない確立が高い。一番生き残れる確立が高いのは、今までのシステムをそっくり温存したままで、すこしだけ新しいシステムを加える方法だ。これが一番単純で一番うまくいく」

ね?

何が「う~む」というと、これを自身の所属する会社の現状に当てはめてみれば、ほら「なんということでしょう~」ってなりません? 特に「恣意的に決まったルール...」ってとこは会社とか組織とかだと本当にその通り。

で、別にこの内容を読んで「目からウロコが落ちた!」とか、「そんなことはない!根本的な解決はできる!」っていう熱き血潮を滾らせるでもなく、これって敬愛する内田樹先生も同じこと言ってたなぁ~っ、ってしみじみ感じてたりします。

ただね、本書では、

「あるところである人が、このように動くに違いないと予測を立てる。一方、別のことろで別の人がそれとは別の予測を立てる。したがって、ローカルシステムの間の予測性の矛盾が必ず生じる。その矛盾が全体のシステムを動かす。そうすると、更に別のところで矛盾が生じる。それがまたさらにシステムを動かす。生きているというシステムと言うのは、無限矛盾繰り込みシステムのようなものだ。それが我々が生きていることの実相で、全部決定論的になってしまったら、生きているとはいえなくなる」

と。

にゃるほど。

というわけで、本書は構造主義進化論の入門書であり、哲学・構造主義の入門書でもあり、またビジネス書でもあった、と、まとめるわけです。
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